【映画】竜とそばかすの姫【感想・ネタバレあり】
高知を舞台にした「竜とそばかすの姫」。
高知県内では公共施設や路面電車も後押ししていて大盛り上がりです。
映画で登場した場所はほとんどが実在の場所で、見た目もほぼそのまま。繁華街の人出だけは映画の方が多いですけれども。
以下、ネタバレを含みます。あらすじは省略して感想に入っていますので、まだ観ていない方はご注意ください。
ストーリー全体の感想(ネタバレあり)
ストーリーを説明するのは難しい
どんなストーリー?と聞かれると難しい。
聞かれて誰かにいちおう説明するなら、「U」という仮想空間で知り合った竜の様子が気になった主人公すずが、竜の正体を探る、という内容です。
技術を考えると、時代的には少しだけ未来だと思います。
でも色んな要素が詰め込まれていて、いまいち中心軸がはっきりしません。
「主人公(すず)に起こった出来事」というタイトルでも通用しそうな内容です。
冒頭は素晴らしい
最初に「U」の世界へ入っていくシーンは、素晴らしいの一言です。
2Dなのにまるで3Dのように感じました。
色使いも鮮やかで、未来の映画はどれもこんな3D風になるのかなあと感動しながら鑑賞することができました。
概念が理解できない層が多い
「U」という仮想世界にキャラクターとして入る、という概念が理解できない方が年配だといるんじゃないかなーと思いました。
「アンベイル(unvail)」も意味がよく分からないまま観ている人が多いかも。小さい子たちに「どういう意味?」と聞かれたら説明が難しそうです。
「アンベイル」というのは「ベールを剥ぐ」という意味で、匿名のはずのインターネット上で、世界中の人たちに向けて勝手に人の素顔を晒しちゃう、という技です。
「アンベイル」やばすぎ
仮想空間で匿名性をはぎとって素顔まで晒しちゃう、というこの技を使える道具を持っているのが「自警団」なんですよ。やばすぎませんか?
そんなことができるのは、この仮想空間「U」の脆弱性と言えませんか?
そんなツールを持ってる人が治安維持してるとか、かなり危ない世界ですよ。
治安維持(権力)はどうしても行き過ぎたり、真面目にやろうとするほどエスカレートして恐怖政治的なものになってしまうと思います。
「竜」関連がちょっと薄い
竜関連に関して言えば、途中でだいたいのネタバレが分かってしまいました。
ミスリード的なものも多いですが、竜はストーリーの中心になるはずの存在だと思っていました。
途中でネタバレが分かるのはいいとしても、もっと深く時間をかけて描いた方が良かったんじゃないかなーと思います。
もしかしたら、タイトルを「竜とそばかすの姫」にしない方が良かったのかもしれません。
「感情移入」するための作品ではない
全体的に登場人物たちに「感情移入」する余裕がなくて事態もどんどん変化していくので、「心情」も洞察しにくいです。
ちょっとストーリーとしての核・重心のようなものを描く時間が足りてない、そんな風に思います。
映画よりも連続アニメにした方が合っていたのかも。
SNS受けを狙った作品の成功例である
まあ色々と突っ込みどころは多いです。本当にこまかい突っ込みどころが多い。
例えば、高校生がひとり部活で川でボート練習してるのはあり得ないし、わざわざ台所でカツオのタタキを焼いてる家は珍しい。
まあなかなか答えが出ない内容もあるので、考察したい派はネタに困らないと思います。
SNS受けだけを狙った作品が増えないか心配になる
最近はSNSなどで考察することが宣伝・話題につながるので、「突っ込みどころ」「疑問点」を解決せず残しておく、「聖地巡礼」を促せる、といった作品は人気が出ます。
ただ、これからSNS受けだけを狙って「謎」だけを残していくパターンの作品が増えないかなあと、ちょっと心配になってしまいます。
家でこの作品を鑑賞する場合は、「なんでやねん」「おかしいぞー」と突っ込みながらみんなで観ると楽しいかもしれません。
2時間では足りてない
ここいるかなー?と感じる無駄っぽいシーンも多かったですが、全体のバランスを考えると、2時間では少し足りないのでは?と思いました。
これだけ歌を入れて、ネット社会の闇的なものも入れ込めば、ストーリーに割く時間が足りないのも仕方ないように思います。
レイトショーに行った感想
初日からしばらくは、上映回数ハンパ無い。しかもどれも満席に近い。
公開3日目、日曜21:45からのレイトショーに行ったんですが、それでもけっこう人が多くてびっくりです。これだけ人が多いと、入場までの待ち時間をひとりで近くでぶらぶらしているのはなんだか悲しくなってきます(ひとりで行きました)。
もう少し早い時間帯のレイトショー(レイトショーだけでも3スクリーンあった)はもっと人がいっぱい、昼間も16回上映しててそれも人がいっぱいでした。
できれば仕事終わりに行きたいので、やはり21時過ぎてからの上映は嬉しいですね。